蚕蛾(さんが)は有名な漢方強精剤

蚕蛾は有名な漢方強精剤
蚕蛾は有名な漢方強精剤

蚕蛾は古くから男性の強精剤として中国や韓国で利用されてきました。

勃起不全や早漏、性欲減退などに効果があると言われています。

韓国の有名な漢方古医書である「東医宝鑑」(とういほうかん)には「蚕蛾は性交力を高め夢精や尿血を抑え、精気と隠道を強めてくれ、性交をしても疲れを感じない」という記述が見られます。

漢方で強精剤として使われるのは「交尾前のオス蛾」だけです。

現在中国などで売られている「原蚕蛾」(げんさんが)や「蛾酒」(がしゅ)、「神宝酒」(しんぽうしゅ)などは精力増強という効能を謳っていますが、本当に「交尾前のオス蛾」だけで作られているのか少々疑問です。

「交尾前のオス」だけを選別しようとすれば大変な労力と手間がかかるからです。

蚕蛾は鱗毛が多くて食べにくいでしょうが、煮てしまえばそうでもありません。

また、薬用では蛾を黒くなるまで炒って粉にしたり、乾燥粉末にしたりしてお湯かお酒で飲むというのが一般的です。

日本では長野県の食品会社が蚕蛾の大和煮缶詰を販売しています。

この缶詰の原料は産卵を終えたメス蛾なので、栄養価や強精効果はあまり期待できないはずですが、養蚕業者がタネ(卵)を採取したあと大量のメス蛾が出るのでそれを有効利用しようということでしょう。

シルクパウダーを長年研究なさっている東京農工大学の平林潔教授によると、シルクパウダーと桑の葉で作った錠剤を知人に分けてあげると、「この薬はバイアグラみたいだね、元気がもりもり出てきて女房もびっくりだよ」という報告があったそうです。

このように強精効効果があるのは「オスの蛾」だけでなく、シルク関連産物全般に見られるのですが、やはりオスの方が効果は強いようです。

韓国の農村振興庁が2004年6月に発表した研究結果によると、男性の勃起を促し持続させるのに重要な役割を果たす「サイクリックGMP」の合成を促進するタンパク質がオスの蚕から抽出されました。この研究は韓国農業科学技術院と釜慶大学が共同で進めているものです。

「サイクリックGMP」とは血液内にある物質で、酸化窒素などの物質によって活性化することで知られています。「サイクリックGMP」が活性化すると男性器の海綿体構造と血管が拡張し、血液の流入が増え勃起が促進されます。

オス蚕から抽出されたタンパク質は酸化窒素の量を増加させる効果が確認されています。

従来は伝承的な効果でしかなかった蚕や蚕蛾の精力増強作用ですが、その有効成分が科学的に究明されたのです。

農村振興庁では、「従来の勃起不全治療薬は化学合成物であるため、薬効が過度に長く持続してしまうという欠点があったが、蚕は生薬成分なのでこうした欠点を解決できる」と話し、今回抽出に成功したタンパク質を使って、本格的に勃起不全治療薬の開発に入りました。すでに韓国ではオス蚕のエキスを使った健康食品が販売されており、中高年の男性らから高い支持を得ています。